“普通のレビューじゃ語れない”。マイクロフォーサーズ視点で見たレンズレスの世界

この商品はズノン株式会社から発売されている『非レンズ光学素子4種・ターレット』と言うものです。「????」いかにも難しそうな製品名です。またマイクロフォーサーズ等、小さなセンサーサイズでの『ZNONZ』は一体どの様な写真を見せてくれるのか試しに購入し使ってみたので紹介します。
・製品との出会い
昔に比べカメラの技術が上がり、暗い場所や素早く動く被写体でもより綺麗に写すことができる時代です。今やスマホなどでも高画質な写真が撮れます。そんな時代の中、僕は高画質だからこそ感じることの出来ない表現があると思い、高画質な写真を収差やブラー等、デジタル編集を行いあえて霞のかかる滲みある画像を作っていました。


こちらの画像はAIにより生成した画像にデジタル処理をしたものになります。左は処理無し、右は処理後です。処理後の方が、夢の中のような幻想的に感じ取ることが出来ると思います。はっきりと写らないことにより質感が向上し心に訴える事が出来ます。
そこからレンズフィルターを用いたやり方を試す中、ピンホールカメラに行きつきました。ピンホールカメラが映し出す世界は僕の求めていた言葉にはならない「それ」だった事に感動したのを覚えています。今までのデジタル編集やレンズフィルターもとても良い手法ですが、やはり足し算をして生まれる物感という印象です。そうしてピンホールで撮ることの出来る製品を探している中で『ZNONZ Ⅰ』に出会いました。
・商品の内容





セット内容・本体・キャップ・取扱説明書・解説冊子・ポーチ・モード説明のカード・リアキャップ
・特徴
『ZNONZⅠ』はターレット式の製品です。側面のダイヤルを回すと4種類のプレートで撮影することが出来ます。写真はフレアやハローの影響で霞のかかったような優しく幻想的な雰囲気です。一般的なガラスを使用したレンズでは「屈折」を利用して像を写します。一方、『ZNONZⅠ』は光が通り抜ける穴の形で生じる「回折」という現象を利用して写します。4種類のプレートを付け替える事無くダイヤルを回し切り替えながら撮影していく事が出来ます。


上下どちらにも取り付ける事が出来るようになっており手元のカメラと相談しながら取り付けます。ロゴになっている『ZNONZ』は上下どちらから見ても同じになっています。
・4つのモード

このような4種類のプレートが内蔵されています。それぞれ個性的なキャラクターなので毎回撮影のたび新たな発見が出来ます。おおまかな特徴をまとめました。

F値128相当。近くから遠くまで同じボケ感になります。滲みが程よく個人的に一番好きなモードです。しかし4つのモードで一番露光時間がかかります。場所によっては三脚必須です。

F値32相当。より滲みの出るモードです。4つのモードで一番明るいので露光時間が速いのも特徴です。

F値78相当。ゾーンプレートより柔らかな印象です。光芒の表現の違いも楽しめます。

F値57相当。こちらは十字の光芒や像になり印象的な表現が出来ます。
・マイクロフォーサーズとの相性

『ZNONZ』はさまざまなセンサーサイズに対応しています。※使用するセンサーサイズによって画角が変わります。大きいほど広角に、小さくなると望遠気味に。 僕の愛機はオリンパスのomd-em5 Ⅱ です。オリンパスが採用しているセンサーサイズはマイクロフォーサーズと言って小さいことが特徴です。ZNONZをつけると56ミリとなります。最近多様する画角になるので個人的に嬉しいのですが、センサーサイズが小さい事が作用しているのか若干ボソボソとした荒いイメージになります。解決策としてはオリンパス機に搭載されているハイレゾショットを使うとシャープになりますが、複数の画像を合成する機能上、動くものなどに対応できません。三脚必須です。


ハイレゾショットとは少しずつセンサーを動かしながら8回から12回撮影し、合成する事でセンサー画素数以上の解像度を得ることが出来、ノイズも低減します。


拡大すると結構なノイズの差を感じます。ハイレゾショットを駆使することでマイクロフォーサーズの弱点であるセンサーサイズを軽減し、軽量という強みが活きてきます。『ZNONZ』も通常のレンズに比べ軽量の為、旅先などで移動の邪魔になる事無く撮影することが可能です。常にカメラを忍ばせここぞと言う瞬間を撮影することに向いています。僕も以前よりカメラを持ち運ぶ事が増えました。
・実写作例





・まとめ
にじんだ光、ふわっとした輪郭、思い通りには写らないけれど、
だからこそ、胸に残る──それがレンズレス写真の魅力です。
ピンホールカメラの歴史は、写真のはじまりの物語でもあります。
レンズレスカメラを使うということは、ただ「写す」のではなく、
光と時間と向き合う体験そのものを楽しむということ。
フィルムのような味わいや、ちょっと不思議で印象的な写真を撮りたい人にとって、
この小さなアイテムは、きっと大切な相棒になってくれるはずです。
写真は、上手に撮ることだけがすべてじゃない。
心が動いたその瞬間を、まっすぐに写しとる方法もあるんだと、
そんなふうに感じてもらえたら嬉しいです。
この小さな光の冒険が、少しずつでも広がって、
レンズレス写真の輪がやさしく大きくなっていくことを願っています。
『今後も、弱小会社ならではの小回りのよさを活かし「山椒は小粒でピリリと辛い」と感じていただける製品をお届けする所存です。
引用元:ズノン株式会社
それでは。